さくらももこが亡くなってから、「ちびまるこちゃん」をはじめ、エッセイまでも読み返してみているところ。
漫画はもとより、文章がつくづく上手くて面白い。
最近初めて知った、さくらももこ作の「神のちから」という漫画に衝撃を受けた。
短編漫画集なのだけど、全ての作品が不条理というか何というか。
へんてこな世界極まれりというかんじ。
そもそも「ちびまるこちゃん」にしても、ほんわかしているだけの漫画ではないのだけど、さくらももこが抑えていたパワーを「神のちから」では全開にして出しているかんじだ。
葬式を1回千円で買う家族の話。死んだおじいちゃんから棺桶から何から何まで準備されているので、葬式をやってみたい家族にはぴったりらしい。購入した夫婦は「これで千円なら安いなあ」「買ってよかったですね」と言っているので、お得な買い物だったのでしょう。
部長さんがくれた「ヤマモト」という人間の話。貰った家で、ヤマモトは床の間に飾られたり、訪ねてきたヤマモトコレクターに15億で譲ってくれと言われても断ったりするので、この部長さんがくれたヤマモトはとてもいい物のようだ。
自分以外の人が全て「西山」になってしまう中村の話。最初はとまどっていた中村も、西山が多いと西山に頼んだ仕事があっという間に仕上がってくるので便利なので慣れると楽しいかもな、と感じてくる。そして自らも西山と一体化していくラストは悟りの境地のようだけど、最後のコマで煩悩が出てしまっているあたり、まだ悟りには至っていないようだ。
などなどの不思議でへんてこな話が17編収録されている「神のちから」。
へんてこだけど、読みようによってはどこか哲学的でもあるのが、さくらももこの底力でしょう。
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